
出典:X(@ nikitabier)
1月15日、XのプロダクトリードであるNikita Bier氏が、投稿に対する報酬を提供するアプリは今後プラットフォーム上で許可しないと発表しました。InfoFiプロジェクトにとって、これが終焉の合図となりました。
Kaito創業者のYu Hu氏によると、経緯は次の通りです。
市場の反応は容赦ありませんでした。
$KAITOは急落し、コミュニティからは「事前準備をしていた」との説明にもかかわらず、事前告知がなかったことへの批判が集まりました。Kaitoはその日の夜、緊急声明を発表し、これまでにもXから法的通知を受けては新たな合意で解決してきたため、今回も追加協議を待っていたと説明しました。
説明の有無にかかわらず、Xの一つの決定がInfoFiエコシステムを終わらせました。わずか3日で、1社の判断により、カテゴリ全体が「プラットフォームの質を損なう」として消滅しました。
これはInfoFiの終焉を意味するのでしょうか。Kaitoのようなプロジェクトはすでに次のステージへの準備を進めています。しかし、今必要なのは過去モデルの延長ではなく、新たなInfoFi 2.0です。
もし私がKaitoのようなInfoFiプロジェクトの創業者であれば、現実的にどんな選択肢があるでしょうか。実行可能な道筋を検証することで、今後のInfoFiの姿が見えてきます。
最もシンプルな選択肢です。資金が尽きる前に事業を清算します。実際、多くの小規模・中規模プロジェクトは「ゾンビ化」し、活動がほぼ停止し、時折SNS投稿を行った後に完全消滅するでしょう。
X依存のプロダクト・マーケット・フィットが失われた今、新たな方向を模索して資金を消費するよりも、事業終了の方が現実的かもしれません。活用可能なデータ資産があれば、他社に売却して一部価値を回収することもできます。このため、多くの小規模・中規模InfoFiプロジェクトはこの道を選ぶ可能性が高いです。
X APIが使えなくなった場合、旧来のモデルに戻る選択肢があります。KOLがキャンペーンに直接応募し、投稿内容を手動で審査し、承認後に報酬を支払う方式です。

出典:Scribble
Scribbleが代表例です。プロジェクトがバウンティ形式で助成を公開し、KOLがコンテンツを作成して審査後に報酬を受け取ります。これはリアルタイムトラッキングではなく、提出・審査型モデルです。
この仕組みはオープンプラットフォームとして拡張可能です。プラットフォームが仲介とインフラを提供し、各プロジェクトが独自にキャンペーンを運営します。参加プロジェクトが増えるほどKOLプールは拡大し、KOL基盤が広がればプロジェクトの選択肢も増えます。
デメリットはKOL側の不確実性です。提出したコンテンツが却下されれば、投下した時間が無駄になります。失敗が続けば、KOLはプラットフォームから離れていきます。

出典:Revu
韓国のスポンサー付きブログモデルは、投稿後審査ではなく「先に選定し、後で管理」する方式です。Revuのような代理店が10年以上にわたり採用しています。
流れはシンプルです。プロジェクトが参加者数を設定し、キャンペーンを公開。応募者が集まり、フォロワー数や過去実績などのデータを基にKOLが選定されます。選ばれたKOLには明確なガイドラインが提示され、投稿後に運営が内容を審査します。基準未達の場合は修正依頼が出され、納期遅延時にはペナルティが課されます。
このモデルでは、KOLは無駄な労力を避けられます。選定後はガイドラインを守れば報酬がほぼ保証され、バウンティ型のように作業後却下されるリスクがありません。プロジェクト側も、事前審査した参加者のみを採用するため、品質管理が容易です。
Xが使えない場合、YouTube、TikTok、Instagramへの移行が次の選択肢です。Web3業界ではすでにX以外への拡張が進んでいます。真の成長には、暗号資産ネイティブが多いXから、より幅広い層がいるチャネルへの移行が不可欠と考えられています。
最大の利点は、Xよりもはるかに大きな潜在ユーザー基盤にアクセスできることです。特にTikTokやInstagramは東南アジアや中南米など新興市場で強い影響力を持ちます。また、各プラットフォームは異なるアルゴリズムで運用されるため、1つのチャネルが制限されても活動を継続できます。
一方で運用の複雑さが増します。Xはテキスト投稿の審査だけで済みましたが、YouTubeは動画の長さや制作品質、TikTokは冒頭3秒のパフォーマンス、Instagramはストーリーの構成やフォーマットの質が問われます。これにはプラットフォームごとの専門性や新たなツールが必要です。APIポリシーやデータ収集方法も異なり、実質的にはゼロから再構築するようなものです。
ポリシーリスクも残ります。Xのようにルールが突然変更される可能性があるためです。しかし、複数プラットフォームに分散することで、単一プラットフォーム依存を軽減できます。大規模プロジェクトにとっては、これがスケール拡大の唯一の選択肢です。
Web2のMCNモデルではKOLのブランド価値が重視されますが、Web3ではその重要性がさらに高まります。ナラティブが資本を動かし、オピニオンリーダーの影響力は絶大です。1つの発言がトークン価格を動かすこともあります。
成功したInfoFiプロジェクトは、すでにアクティブで方向性の一致したKOLグループを形成しています。これらのKOLは、プラットフォーム上で数カ月にわたる参加を経て成長しています。ゼロからクリエイターを集めるのではなく、このグループを維持し、Web2 MCNのような常時発掘型ではなく、データドリブンな管理へ移行できます。
MCN型構造は、プラットフォームへの自由参加ではなく、正式な契約関係を意味します。蓄積されたデータと関係性により、Web3エコシステム内でより強い影響力を発揮し、より有利な条件で交渉が可能となります。
InfoFiプロジェクトにとっては、強固な管理体制が不可欠です。データがコア資産となり、KOLをデータで誘導し、プロジェクトには専門的かつデータドリブンなGTM戦略を提供できれば、持続的な競争優位性を確立できます。
InfoFiの崩壊は、Web3エコシステムに2つの教訓を残しました。

出典:X(@ nikitabier)
これはInfoFiの終わりなのでしょうか。
完全な終焉ではありません。プロダクト・マーケット・フィットを見出したごく一部のプロジェクトは、形を変えて存続する可能性があります。マルチプラットフォーム展開やキュレーション型キャンペーン、MCN型管理へと転換できるでしょう。
InfoFi 2.0は、より小規模で統制され、品質重視へとシフトする見込みです。オープンで無制限なプラットフォームから、審査済みネットワークへ移行し、ローカルGTMやオフライン広告などを組み合わせた統合型マーケティングプラットフォームに近づくでしょう。
しかし、根本的な課題は依然として残ります。
Tiger Research HouseのJoel Mun氏は、一度報酬が導入されると、参加者は必ずシステムを攻略しようとするため、公正な仕組みの設計が困難になると指摘しています。この行動が低品質なコンテンツを生み、プラットフォームを損なう負のループを生むため、InfoFiプロジェクトにとって重大な課題です。
David氏はさらに根本的な問いを投げかけました。InfoFiトークンの価値は、プラットフォームの実績よりもステーキングエアドロップやナラティブへの期待に支えられてきましたが、どちらも意味を失いました。つまり、なぜ投資家はInfoFiトークンを買うべきなのか、という直接的な疑問です。
InfoFi 2.0が生き残るには、これらの問いに明確な答えを出す必要があります。トークン保有者との接続を失えば、プロジェクトの持続性はありません。





